「八幡造(はちまんづくり)」は、主に八幡神を祀る神社に見られる、非常に独特で希少な建築様式です。宇佐八幡宮、石清水八幡宮と伊佐爾波神社の3例しか現存していません。最大の特徴は、「2つの建物が前後に寄り添うように並んでいる」点にあり、横から見ると屋根が「M字型」に見えるのが大きなポイントです。
切妻造(きりづまづくり)という三角形の屋根を持つ建物が前後に2棟並んでいます。
2つの建物の間には「相の間」という狭い部屋があり、屋根同士が接する谷間の部分には、雨水を流すための大きな「樋(とい)」が架けられています。
全体的に朱塗りの柱と白い壁、そして檜皮葺(ひわだぶき)の屋根が組み合わさることが多く、優雅で荘厳な雰囲気を漂わせています。
この様式は現存例が非常に少なく、以下の神社がその代表です。
| 神社名 | 所在地 | 特徴 |
|---|---|---|
| 宇佐神宮 | 大分県宇佐市 | 八幡宮の総本宮。国宝の本殿は3つの社殿が横に並ぶ壮大な八幡造。 |
| 石清水八幡宮 | 京都府八幡市 | 現存する八幡造の中で最古・最大規模。本殿は国宝に指定されています。 |
| 伊佐爾波神社 | 愛媛県松山市 | 鮮やかな朱塗りが美しい、全国でも珍しい八幡造の例です。 |
一説には、仏教建築の「双堂(ならびどう)」の影響を受けていると言われています。また、神様をより身近に感じつつも、神聖な奥深い場所を守るという、日本独自の信仰の形が建築として表現された結果とも考えられています。
この建築様式は、後の「権現造(日光東照宮など)」のルーツの一つになったとも言われています。