国分寺崖線(こくぶんじがいせん)は、東京の地形を語る上では欠かせない、非常にユニークで美しい「緑のベルト」です。「ハケ」とも呼ばれ、単なる坂道というだけでなく、太古の多摩川が作り出したダイナミックな歴史の跡でもあります。
国分寺崖線は、武蔵野台地を削ってできた「河岸段丘(かがんだんきゅう)」の急斜面のことです。
歴史: 約10万年前から、古多摩川が武蔵野台地を少しずつ南へ侵食しながら削り取っていきました。その結果、標高の高い「武蔵野面」と、一段低い「立川面」の境界に、高さ10m〜20mほどの長い崖が生まれました。
範囲: 東京都立川市から国分寺市、小金井市、三鷹市、調布市、世田谷区、そして大田区の田園調布付近まで、北西から南東にかけて約30kmにわたって約10~20mの高低差を持つ「ハケ」が続いています。
この崖線の最大の特徴は、いたる所から湧水が出ていることです。 武蔵野台地の関東ローム層に染み込んだ雨水が、水を通しにくい粘土層(礫層)にぶつかり、崖の途中で地表に染み出しています。
崖地は傾斜が急で開発が難しかったため、図らずも豊かな武蔵野の原風景が残ることになりました。現在では、その地形を活かした公園や名園が数多く点在しています。
| 場所 | 特徴 |
|---|---|
| 殿ヶ谷戸庭園(国分寺) | 崖の段差を巧みに利用した回遊式林泉庭園。 |
| 神代植物公園(調布) | 崖線の斜面を利用した広大な植物園。 |
| 等々力渓谷(世田谷) | 東京23区内唯一の自然渓谷。崖線の南端付近に位置します。 |
| 国立天文台(三鷹) | 崖の上の平坦な場所を利用して設置されています。 |
古くから水が豊かな場所だったため、崖線の周辺には縄文時代からの遺跡(配石遺構など)が多く見つかっています。また、明治〜昭和期には、その景観の良さから政財界人の別荘地や文化人の住まいとしても愛されました。
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