田山花袋(たやま かたい)は、明治・大正時代に活躍した日本の小説家です。日本における「自然主義文学」の旗手であり、良くも悪くも日本の近代文学に「ありのままをさらけ出す」という決定的な方向性を与えた人物です。
花袋は、フランスのゾラなどが提唱した自然主義を日本流に解釈し、「虚飾を排し、真実を冷徹に描写する」スタイルを確立しました。
彼の作品は、生々しい内面描写から、情緒豊かな紀行文まで多岐にわたります。
| 作品名 | 刊行年 | 特徴 |
|---|---|---|
| 『蒲団』 | 1907年 | 日本の自然主義文学を決定づけたスキャンダラスな一作。 |
| 『田舎教師』 | 1909年 | 閉塞感のある田舎で、夢破れて若くして死んでいく青年を描いた名作。 |
| 『一兵卒』 | 1908年 | 日露戦争の過酷な現実を、一兵士の視点から淡々と描いた短編。 |
ドロドロした内面描写のイメージが強い花袋ですが、実は大の旅行好きでもありました。
同時期に活躍した島崎藤村とは、日本の自然主義を牽引した「双璧」と呼ばれます。藤村が詩的な叙情性を残したのに対し、花袋はより「露骨で生々しい」描写にこだわったのが特徴です。
「平面描写」:花袋が提唱した、美化や主観を交えず、事物をありのままに(平面的に)写し取るという描写理論。