| 住所 | 京都府京都市南区唐橋羅城門町54 |
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芥川龍之介の『羅生門』は、極限状態に置かれた人間のエゴイズムを鋭く描いた短編小説です。
平安時代、京都は地震や火災などの災厄が続き、ひどく衰退していました。かつての壮麗な門「羅生門」も今や荒れ果て、引き取り手のない死体が捨てられる不気味な場所となっています。
ある日の夕暮れ、首になったばかりの下人(げにん)が、雨宿りのために羅生門の下で途方に暮れていました。
下人は、生きていくための手段がありません。
「盗人になるほかない」と頭では分かりつつも、彼はどうしてもその勇気が出せずにいました。
門の2階に火が灯っていることに気づいた下人が、そっと上を覗くと、そこにはおびただしい死体の中で、死体の髪を抜いている老婆がいました。
その不気味で醜悪な光景を見た下人は、激しい憎悪を抱きます。彼は老婆を組み伏せ、「何をしているのか」と問い詰めました。
老婆は震えながら、こう答えます。
「この髪を抜いてカツラにしようとしているのだ。この死んだ女は、蛇の肉を干し魚だと偽って売っていた。生きるために仕方のない悪事だった。だから、自分がこの女から髪を抜くのも、生きるためには仕方のないことだ」
老婆は「生きるための悪は許される」という論理を振りかざしたのです。
この言葉を聞いた瞬間、下人の迷いは消えました。彼は老婆を突き飛ばし、こう言い放ちます。 「では、俺が貴様の着物を剥ぎ取っても恨むまいな。俺もそうしなければ、餓死する体なのだ」
下人は老婆の着物を力ずくで奪い取り、夜の闇の中へと消えていきました。下人の行方は、誰も知りません。